エトシャ国立公園外にあるキャンプサイトでダラダラ過ごしただけです。
ここで、恐れていた日独戦争が勃発しました。
一部始終は「ナミビア道中膝栗毛」でどうぞ。
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いつのまに、こんなにズタズタになった?R君が気づかなきゃ、ヤバかったなー。

で、でました!ヒンバ族。スーパーで買い物している所をパチリ。ってか、なんで直立不動なんだ?なかなか衣装は凝っているし、カッコイイ…かも。

ムルシ族と同様、こいつらも臭いし、金の亡者だ。いちいち、撮影代をあげなければならない。しゃーないな。肌が赤茶色なのは、蚊除けに泥を塗ったくっているからだ。少しだけ腕に塗ってもらいやした。

エトシャ国立公園外にある、キャンプサイト。プールまであって、なかなか居心地がよい。何にもないのに、ここで2日も過ごしました。

ウェルカムドリンクもあるし、レストランもあるし、サービスは充実している。ナミビアで意外だなー。

あまりにも暇なんで、テントを撮ってみた。ここまでくると、テント設営も手馴れたもんだ。
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特別読切企画 ナミビア道中膝栗毛
【第六章 ロンが吼える!】
こいつら、ほとんど働かない。
テントなんかこれまで1回しかたてずに、いつも車の中で寝ているし、ほとんどガスバーナーを使った調理をせず、パンばかりかじっている。
まぁ、使ってないテントを私が独り占めできるのでいいのだが。
この辺はこちらとしては無害なのでよいのだが、車への荷物の積載の時はひどい。
ほとんど、日本人チームがやっていて、あいつらは、ダラダラと準備して車に乗るだけだ。
2人の担当は明確だ。
ソフィーはアイドル的な見てくれと、よく回る舌を活かした喋り担当、リサは自分をわきまえているのか、英語がそんなに喋れないのか、はたまた下品な笑い方で悪印象与えないようにしているのか知らないが、ヤクザの親分の様にソフィーの後ろで構えているだけの沈黙担当だ。
出発前にE君が、車のチェックをし始めた。
さすが、元レンタカー勤務、こんなもん朝飯前だぜって感じだな。
その折、タイヤがバースト寸前になっているのを発見した。
タイヤのゴムが酷く擦り切れていて、大きく削り取られていたのだ。
こりゃ、気づかなかったらやばかったね。
というわけで、エトシャに行く道すがら、タイヤ交換をする羽目になった。
途中、スペアタイヤに交換したり、新しいタイヤを購入したりと、無駄足を踏んだが、エトシャ国立公園に通ずる幹線道路に入り、久しぶりの舗装道路になって、ドライブが快適になってきた。
これまで、なんだかんだあったが、思ったより順調に移動できていたし、ヒンバ族の村があるオプオという街は、「別に行かなくてもいっか、ヒンバ族はその辺でも見られるし」と全員一致したので、8泊9日の予定より早く切り上げられそうだ。
残りは、エトシャ国立公園のサファリで、今日、公園外に1泊、明後日、公園内に1泊、公園がしょぼかったら2日後には、ヴィントフックへ帰れそうだ。
今日もR君の運転で、ぼちぼち公園の近くのキャンプサイトに着くころだった。
「あんたたち、どこ向かってんの?」
「ああ、今、この道を進んでいる。一応、このキャンプサイトでいいかなと思っているが」
「何言ってんの!私達はこのキャンプサイトがいいって言ったじゃない!」
いきなりバカ娘達が激高し始めた。
なんのことやら、わけがわからん、私とR君。
そんなこと知らんかったが、言った言わないの議論なんて、無駄以外の何モノでもない。
既にサファリに半ば興味のない私にとって、エトシャ国立公園は消化試合のようなものだ。
どこに泊まろうが、好きにしてくれって感じだ。
我々の一挙手一投足が彼女達の勘に触るらしい。
もはや、嫁、姑の関係だ。
あ゛ー、こいつらをチョイスしたのはそもそもの間違えだったかもなー。
お金以外のメリットがないし、そもそも楽しくないんである。
そんな後悔が、現実のものとなる。
就寝前に、明日の出発時間を打ち合わせようと、バカ娘のところへ行ってみた。
「明日、何時ころ公園に行く?」
「はぁ?何言ってんの?もう一泊ここに泊まるのよ。言ったじゃない!プールでリラックスするのよ」
またしてもこいつら激高、日本人一同、唖然。
「R君に絶対言ったわ。あなたOKと言ったじゃないのよ!」
「そんなの俺は聞いていないぞ。何いいよっとー」
と、R君は抗議。
私よりR君のヒアリングの方が信頼できるし、そもそも私とEさんはその話を聞いていない。
「この子ら、何いってはんの!」
Eさんも、マジ切れ5秒前。
あー、面倒くせーなこのクソガキ。
「つーか、このキャンプサイトで一日何するつもり?やることねーじゃん」
と尋ねる私。
「サファリの情報もないし、明日情報収集するのよ。どこに動物いるかしらないでしょ」
と答えるソフィー。相変わらず、ハリーポッターのロン似のリサは憮然として黙っている。
「それ、一日もかからんだろ。それに一泊無駄にするより、さっさとレンタカー帰したほうが安くつくんじゃね?」
「私達はアフリカをエンジョイしたいの!もう、アフリカに来ることないかもしれないのよ!ここにはドイツ人がたくさん来るから、いろんな情報が私達は手に入れられるの。例えば、この周辺にある、ローカルな村とかとても興味があるのよ!」
「ぷっ…」
思わず笑ってしまった。
そもそも私の質問に答えられてないし、議論の焦点がずれてきている。
最初はプールでリラックスって言ってたくせに、あまりにも子供じみていて、反論の言葉が思い浮かばないぜ…
「ヴィントフックに早く帰っても何もないわ!」
キャンキャンと子犬のように騒ぐソフィー。
それを見ているだけで、私は可笑しくて堪らないんである。
もちろんEさんもR君も、明日の一日を無駄にはしたくないのである。
そもそも、エトシャにそんなに期待をしていない我々だが、運転するのも我々である。
うーむと考えた挙句、我々のドライブのせいで、動物が見られなかったとか、後で文句言われるのも嫌だし、ここは交換条件で、そのリスクをヘッジすることにした。
「じゃあ、お前ら明日、どこに動物がいるのか情報収集をして、サファリ中にナビゲートしろ。」
「わかったわ。」
どーせ、あいつら、大半はプールでダラダラしているだけだろうけど、こちらで公園内のコースを決めたりする手間が省けたし、まあよかろう。
しっかし、あいつら、自分の主張だけは一丁前にするし、まったくもって友好的でない。
まるで、バカな中高生のギャルを引率しているようだ。
もちろん、こちらの英語のコミュニケーション能力が不足していることは否めない。
日本人特有の、察しと思いやりとか、本音と建前とか、西洋の慣習にはないものがあるのも確かだ。
しかし、同じ旅行者、同じ車に乗っているわけから、お互い歩み寄って然るべきだろう。
これまで、様々な国と地域からやって来ている旅行者に会ってきたが、多かれ少なかれお互いそのように認識していたはずだ。
そんなことより、明日何しよ。
俺達もプールでボサっとするしかねーじゃんよ。
翌日…
キャンプサイトの周りはサバンナでスーパーやネットカフェも何にもない。
ここで一日過ごすって、プールサイドで寝てるしかないのだ。
水着に着替え、パソコンやらガイドブックを持って、プールに行くと、あのお二方も既にいて、リクライニングチェアに体を横たえていた。
もち、お互い口も利かない。
こりゃ、冷戦状態だ。ぶるぶるぶる…
暑い中、プールに飛び込んで、横になっていると、毎日移動だったし、今日はのんびりしてよかったかもなー、という気になってきた。
当初の予定の1泊分の食料が浮く計算で準備していたので、明日以降少し足りないことがわかった。
よっしゃ、ここは奮発してキャンプサイトのレストランで頂くことにしよう、と日本人満場一致で決まった。
キャンプサイトのレストランは日本やヨーロッパのそれとほとんど変わらない店構えで、バンドの演奏まで付くときている。
しかも、ビュッフェで食べ放題だ。
毎日パスタパスタパスタで、もはやパスタが嫌いになりそうなくらい食っていたし、ヨーロッパ以来まともの西洋料理など口にしていない我々は、久しぶりのまともな食事に舌鼓を打った。
人間、たまにはこういう贅沢も必要だよなー、と改めて実感。
さてと、夜も更けてきたことだし、明日のサファリの予定とこれまで、ガソリン代やらを立て替えていたので、奴らに請求しないとな、と思い、ソフィーのテントのところへ行った。
あいつら、どれだけすごい情報を収集したのかと思いきや、トイレの場所とランチを取る場所を決めていただけだった。
おまけに、彼女達が当初どうしても泊まりたいといっていた、ハラリというキャンプサイトに変えて、違うところに泊まりたいと言っている。
どんだけ予定変更すれば気が済むんだ?
まぁ、いい。エトシャなんぞ大して期待していない。
我々の情報収集によると、夜に水場に集まってくる動物達を見るのがハイライトと聞いているし。
次に、これまでにかかった経費を清算してもらおうと、計算した紙を出した。
その瞬間、いつも黙っていたリサがビクっと反応した。
「このポリスって何よ?」
はっとした顔で、ソフィーも紙を覗き込む。
セスリムで無灯火の罰金を受けたので、そいつも5人で割ろうと思ったのだ。
「何考えてんの!あんたが罰金を受けたんだから、あんたが払いなさい!」
悪鬼の面でソフィーが激高し始めた。
平素、仏のtakaさんと言われている私も、さすがに頭にきた。
「ふざけんな、なんでR君一人が払わなければならない?我々はドライバーの持つこういったリスクを共有しなければならない」
R君をふと見ると、頭髪が黄金に輝いていた。
おお、遂に伝説のスーパーサイヤ人に覚醒するのか!覚醒してしまうのか!!
と思ったら、街灯が反射しているだけだった。
いや、ここにいる日本人3人はもはや、怒り心頭に発していて、スーパーサイヤ人に覚醒するに充分だ。
「そうだ、俺達はお前らのタクシーじゃないんだよ!」
とR君。
まったくもって、その通りだ。
2日目は私が運転したが、なにを隠そうその後はR君に任せきりだった。
がんばって運転しているR君に対して、いつも爆睡しているこいつらは、「Thank you for driving」の一言もない。
ドライバーに対してあんまりだろう。
「無灯火なんて、基本的なミスでしょ?教習所で習わなかったの?スピードもかなり出していたし、あれほどスピードを緩めてといったでしょ!」
また、トンチキなことを言い始めて、論点がズレ始めた。
論点も戻そうとギャーギャーと騒いでいるうちに、Eさんが日本語でキレた。
「もうえーわ!あんたらが出さへんのなら、うちが払ったるわ!」
と、金を取り出してぶちまけた。
これは、奴らにも伝わった様で、
「あなたが払う必要はないわ!なんで??」
と慌てふためく始末。
なんか、子供じみていて、怒りよりもむしろ可笑しみの方が沸いてきてしまうのだ。
へへっ、と笑うと、火に油を注いでしまったようで、「何笑ってんのよ!」と、この子達はさらにヒートアップしてくる。
あー、もう疲れてきた。
しゃーない、リスクを共有できないのなら、リスクを背負ってもらおう。
この究極の選択にどう出てくるのか?
「払わないのなら、俺達はもう運転しない。お前らが明日からヴィントフックまで運転しろや。そうじゃないと、フェアじゃないだろ?」
と言ってやると、その瞬間、普段沈黙しているリサ(ロン)がの猛獣のように咆哮した。
「◎△※□◎△※□◎△※□!!!!!!」
「!!」
驚きのあまり日本人一同、顔を見合わせた。
しかもドイツ語だったので、何言っているか全然わからん。
それに乗じた形で、ソフィーは
「わかったわよ!運転するわよ!」
と、承諾した。
あらららー、承諾しちゃったよって感じ。
たった、600円程度の支払いを渋って、運転するリスクを取るとは。
しかも、レンタカーの規約を破ってまでである。
そんなこんなで、明日以降俺達は後部座席でお客さん状態でサファリを楽しめる。
だいぶイラっとしたが、なんか結果オーライじゃね?
ポリス代の除いた分は無事回収し、就寝。
今後、日独の邂逅は果たしてあるのか?
【最終章 愛は国境を越える ~We are the world~ (仮)】
としておこう。お楽しみに♪