旅の知識

この旅で得たノウハウを記述しておきます。

ここではツアーなど短期旅行ではなく、長期で自力で移動し宿を探し観光するタイプの旅行を想定しています。
また、これらは2009年~2011年に旅をした時の情報です。
ビザの取得方法などは時と場合によって変わるので、最新情報を集めるようにしましょう。


・旅の準備


住民票など
長期で日本を留守にしても市民税などの税金がかかるので、出国前に住民票を除票しておくとよい。
といっても、1年以上旅行、もしくは無職でないと意味が無いかも。
前年の収入(何月だったかな?)から今年分の税金を算出するので、旅に出た年は払う必要がある。
旅をしている間、年金を支払いたくない場合は国民年金を脱退しておく。
国民健康保険も海外は無効なので脱退しておく。

保険
生命保険、損害保険には加入しておいた方がよいだろう。
生命保険は言わずもがな、医療保険に関して海外では通院・入院は高額負担を強いられるので加入をお勧めする。
1年を超える保険はあまりないので代理店で相談するべし。
私の場合は、損保ジャパンで2年間の保険に入っておいた。
約12万円。

また、ロシアビザ取得時とキューバ入国時に医療保険の提示が求められることにも注意したい。
ロシアビザ申請時、リトアニアのロシア大使館で保険証書のコピーを提出した。
キューバではハバナの空港到着時に保険証書の提示を求められた。加入していない場合はその場で申し込みをさせられることになる。
しかし、同行した日本人は保険の提示を求められていなかったので、その辺は入国管理官によってまちまちのようだ。

損害保険にも加入しておいたほうがよい。
海外では盗難や強盗に会う確率が格段に高い。
特にデジカメやパソコンなど高額なモノを失った場合は効果が高い。
保険金の申請は帰国後にすることになるが、現地警察が発行する被害届が必要になるので取得すること。
なくなってもいないのに、ウソを言って被害届をもらい、帰国後に保険金を申請するという輩もいた。

お金
国際キャッシュカードが利便性が高い。
私の場合もメインはキャッシュカードだった。
ほとんどの国でATMが利用できるので、必要なとき必要な金額を引き出せばよい。
「Plus」か「Cirrus」のマークのあるATMで現金を引き出すことができる。
新生銀行、スルガ銀行は手数料が安いらしい。

クレジットカードも必須。
ホテルや飛行機の予約時に必要。
キャッシュカードが使えず、クレジットカードのキャッシングのみの利用しかできない国もある(後述)。
高額の買い物をする際、現金を持ち歩く必要がないので便利。

トラベラーズ・チェックは流行っていない。
レートが悪い上に、取り扱っている銀行が少ないからだ。
一応、保険として数百ドル用意してもいいかも。

予防接種
狂犬病や破傷風など、発病するとシャレにならない伝染病があるので予防接種はしておいたほうが良い。
とはいえ、日本で接種するとなると高額になる。
バンコクのスネーク・ファームでは日本の値段の半額以下で受けられるのでオススメだ。
一回の接種では免疫ができず、数週間から数ヶ月の間隔をあけて接種しなければならないものもある。
私が受けた予防接種を下に示す。

黄熱病
狂犬病
A型肝炎
B型肝炎
日本脳炎
髄膜炎
破傷風
インフルエンザ

持ち物
・バッグ
バックパック、ソフトキャリー、ボストンバッグなど何でもよいが、長期旅行者の8割はバックパックだった。
50ℓ前後の容量で事足りるが、女性旅行者の方が概して荷物が多い。
体への負担を考えると、体重の3分の1以内の重量がよいそうだ。

・サブバッグ
リュックサック、肩掛けカバン、ウエストバッグなどで、錠前がかかるものがよい。

・貴重品入れ
腰巻タイプを使用した。
パスポート、カード類、現金を入れておく。

・衣服
半袖シャツ…2,3枚
長袖シャツ…1,2枚
短パン
ズボン
ジャージ
下着…2,3組
靴下…2,3組
薄手の防寒着…ナイロンジャケット、フリース
厚手の防寒着…ダウンジャケット
水着
その他、水着、ニット帽、手袋、スパッツなど旅先の気候・アクティビティにあわせて用意する。
現地でも購入可能だが、日本製の高機能衣類は日本で買っておく方がよいだろう。
大抵、自分で洗濯して干すので、速乾性の素材がよい。

・寝袋
必要となる場面は少ないが、南京虫対策や掛け布団が貧弱で寒い時、バスターミナルや空港で仮眠する時など結構役に立った。

・薬
感冒薬
頭痛薬
胃腸薬
抗生物質
虫除けスプレー
足りなくなれば、現地でも調達可能。
やさしい旅行者がめぐんでくれる時もある。

・カメラ
私は一眼レフと防塵防水コンデジの2台体制で行った。
一眼レフは拘りがなければ、入門仕様の小型・軽量がよい。
重い上にカメラバッグの体積が無視できないくらいに大きく、移動中に取り出したり、ちょっと出かけるときなど、持ち出すのが億劫になるので軽量なものをオススメする。
ブランドも拘りがなければ、ニコン・キヤノンがよい。
さすがにシェアが高いだけあって最も流通量が多く、旅行中の不慮の故障や買い増しにも対応できるからだ。
ソニーはそこそこ見かけるが、ペンタックス・オリンパスはほとんど見かけない。

レンズは拘りがなければ、高倍率レンズと広角レンズの2本がよいと思う。
私は、広角・標準・望遠の3本を持っていったが、レンズ交換で非常に面倒臭い思いをした。
広角は建物内(教会・モスクなど)を撮るときや高層建造物など引けない時に役立ったし、望遠はサファリや舞台など寄れない時に役立った。

普通のコンデジは壊れやすい。
壊れたら現地で調達すればよいが、バグってデータを失うこともあるので、防塵防水・タフネス仕様をオススメする。
これならシュノーケルやプールでも写真が撮れるし、取り扱いが多少雑でも構わないからだ。

・パソコン
長期旅行なら必須かもしれない。
宿にワイヤレスが入っている場合があるので、インターネットもできるし、暇になれば音楽、動画、マンガを愉しむこともできる。
多くの人がネットブックを持参していた。
写真の保存・閲覧、旅の支出メモ、ブログ作成などに役に立つ。
iPhoneを持参している人もいた。

・その他
万能ナイフ
シャンプー、洗顔フォーム、洗剤、日焼け止めなど生活消費材

懐中電灯
ネパールやパキスタンは停電多発。ヘッドライトタイプが便利。宿泊を伴うトレッキング、アマゾンツアー、ギアナ高地ツアーでも役に立った。

蚊取り線香
ワイヤーロック
南京錠
カッパ(ポンチョ型)
方位磁針
サングラス
帽子
電池
お守り

国際運転免許証
ナミビア、南アフリカ、アルゼンチン、イースター島でレンタカーを借りた。

・私は持っていなかったが、他の旅行者が持っていた物
テント
マット(テント泊の時に寝袋の下に敷く)
オリジナル名刺
iPhone
GPS
中日ドラゴンズのマスコット
世界対応ドライヤー


・旅中


お金
基本的にはATMを使うことになる。
私が訪れた国の中で、ATMがない、もしくはほとんどない国があったので記述しておく。
これらの国に行く場合は、米ドルキャッシュを用意していくべし。

ウズベキスタンはATMがタシケントのタシケントホテルと目抜き通りの2箇所しかなく、いずれもクレジットカードのキャッシングのみ利用可。
確か米ドルが出てきたと思う。
ミャンマー、トルクメニスタン、イラン、スーダンは利用できるATMがなかった。
エチオピアはアディスアベバの人類博物館出入り口にATMがあったが、その他の都市にはATMはなかった。
シリアはATMの設置箇所が極端に少なかった。

公定レートと一般(闇?)レートに差がある国ではキャッシュカードで現金を引き出すと損をする。

ミャンマーではゲストハウス、旅行代理店、ヤンゴンにあるツーリストインフォメーション、やむを得ない場合のみ路上の両替商で両替すべし。
銀行で両替すると大幅に損することになる。

ウズベキスタンではATMがほとんどないので、米ドルキャッシュを用意すべし。
主にマーケット周辺をウロついている両替商を利用することになる。
銀行でも両替可能だがレートが7割程悪い。

ベネズエラではATMが利用可能だが、公定レートより市場(闇?)レートの方がよいので、こちらも両替商、旅行代理店などを利用したほうがよい。
ギアナ高地ツアー(エンジェルフォールズ、ロライマ山トレッキングなど)ではドルキャッシュで支払う方が得をする。

コロンビアで以前可能だったトラベラーズチェックを利用した錬金術はなくなっていた。
以前はチェックのレートが現金よりよく、米ドルチェック→コロンビアペソ→米ドルキャッシュと両替すると、結果的にドルを増やすことが可能だったが、現在チェックの方がキャッシュよりレートが悪いので左記の方法を利用しても得することはない。

移動
大抵はバス、列車で移動することになると思うが、旅行会社や声を掛けてくる兄ちゃんに頼むのではなく、バスターミナルや駅の切符売り場で直接買った方が良い。
人に頼むとほとんどの場合、法外な仲介手数料やウソの値段を言って来て、トラブルになること必至だ。
他の旅行者に聞いたりガイドブック・情報ノートから、ルート、時間、値段などの情報を集めておくと良い。

ビザ情報
長期の場合、ビザを取得しながらの旅となるだろう。
ビザ発給は流動的なので、現地でよく情報収集をしたほうがよい。
証明写真とパスポートのコピーはビザ申請時に必要になるので、予め大量に用意して行くとよい。

中国…日本のビザ取得代理店で取得(ダブルビザ)
タイ…ビエンチャンで取得
カンボジア…国境で取得
ミャンマー…バンコクで取得
インド…バンコクで取得
バングラデシュ…コルカタで取得
ネパール…国境で取得
パキスタン…ダッカで取得(要日本大使館レター)
ウズベキスタン…デリーで取得
トルクメニスタン…タシケントで取得
アゼルバイジャン…タシケントで取得
アルメニア…国境で取得
イラン…エレバンで取得
バングラデシュ、インド、パキスタン、グルジアではイランビザ取得に2週間かかると言われ、諦めかけていたが、運良くアルメニアのエレバンでトランジット・ビザを翌日発行してくれた。

ロシア…リトアニアで取得
バウチャー旅行(宿、移動手段をすべて予約した後に旅行会社から発行される書類)が基本だが、空バウチャーを取得すれば自由旅行が可能。
Way to Russia」という旅行会社にバウチャーを発行してもらい、大使館に持っていく。
基本自国民にしか(例えばドイツのロシア大使館ならドイツ人のみ)ビザを発行しないことになっているが、私の場合はリトアニアで取得ができた。
その他、ウクライナのリヴィフのロシア大使館に電話したら日本人でも発行すると言われたが、ポーランドでは不可と言われた。
ビザ申請の際、医療保険の証書が必要だった。

エジプト…国境で取得
スーダン…カイロで取得(要日本大使館レター)
エチオピア…カイロで取得
ケニア…国境で取得

ベリーズ…国境で取得
キューバ…空港て取得
ビザ申請の際、医療保険の証書が必要だった。

パプアニューギニア…空港で取得

宿
どの街にも宿はある。
安宿はバスターミナル周辺や目抜き通りに多い。
南京虫が巣食っている宿、泥棒宿、ラエリー宿(喧しいイスラエル人が利用している宿のこと)など、貧乏くじを引かないように、ある程度旅行者からオススメ宿を聞いておくとよい。

アジア、アフリカの一部、中南米は日本人が贔屓にしている宿が多い。
ガイドブックやネットで探せるし、旅行者に聞いてみるとよい。
日本人宿の利用については賛否あるだろうが、メリットは多いと思う。

・情報収集が楽
ビザ情報や移動手段、値段など、経験者に教えてもらうのが一番。
特に情報ノートの情報にはかなり助けられた。
こんな親切なもん作っているのは日本人だけだ。
どこの飯屋が安くて美味いとか、ここの旅行会社はボッタクリだとか、情報の細かさにおいてはガイドブックを凌ぐものがある。
日本人経営の宿の場合は、現地の詳しい情報が得られる。

・旅仲間ができる
欧米人旅行者と長く同行していると、言語や文化の違いからストレスが溜まる時がある。
その点、日本人だと日本語がしゃべれるし、以前に同行した旅行者に再会することもある。
また、女性一人旅で治安の悪い街を訪れる時など、同行者を求められる。
最近、韓国人が日本人宿に進出している。

・本をゲットできる
漫画や小説が置いてある場合が多いので、交換する。
長期旅行で困るのが、ガイドブックをゲットすることである。
何冊も持っていけないので、本棚からあるいは旅行者と交換できるチャンスがある。

・日本食が食える場合もある
よくあるのが、夕食をみんなで作って食べましょー、っていう感じでワイワイ料理しちゃうことがある。
そんなときは、やはり日本人好みの味付けになったり、ご飯を炊いたりするので、ありがたみを感じる。
料理人や料理が得意な女性がいたりするとラッキーだ。

・ある程度は宿の質が保障されている
当然のことならが、ダメ宿に旅行者が集まるわけはなく、従業員が親切だとか、日本人経営だとか、なんかしら惹かれる点があるはずなのだ。

デメリットもある。

・宿泊者の質によって、雰囲気が悪い場合がある
沈没者や排他的な旅行者、なぜか偉そうな旅行者が時には雰囲気を悪くしていて、感情を害することがある。

・日本人だらけ
必然的に欧米人旅行者や現地人宿泊者との交流が少なくなる。

・ルールが多い
極端に安く宿泊代を抑えている場合、ファシリティが悪く、シャワーの時間などが制限される場合がある。

ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアは日本人宿が少ない。
物価が高いので長期滞在せず、さっさと移動してしまうのと、街が多いので旅行者が分散しているためだと思われる。
ホステルワールドなどで安宿は簡単に探せるし、西欧の大都市(ロンドン・パリ・マドリードなど)は満室になることが多いので、予約していく方がいい。

インターネット
大抵、どこの国でもできる。
アジア、アフリカは宿にWiFiが導入されていることが少ないので、ネットカフェに行くことになる。
持参したパソコンをインターネットに接続してくれる事が多い。
ヨーロッパ、南北アメリカは宿に無料WiFiが導入されていることが多いが、特にヨーロッパ、オーストラリアでは有料の場合がある。
また、Skypeを利用すれば家族や知人とも連絡が取れるし、国際電話より安く電話ががけられる。

以下の国は注意が必要。
中国…インターネットはかなり普及しているが、検閲対象のブログやアメリカのサイト(Facebookなど)は閲覧不可。このブログも更新できなかった。
トルクメニスタン…首都アシュガバッドのショッピングモールに1ヶ所あっただけだった。しかも中国と同様に検閲されている。
スーダン…首都ハルツームのみ。
エチオピア…地方はダイヤルアップで高い遅い。
キューバ…ネットカフェなし

治安対策
日本ほど治安のよい国はない。
昼間でもケチャップ強盗や首絞め強盗に遭遇することがあるし、後発国は夜になるとほとんど人通りがなくなる。
また、移動中のバスや列車ではスリの被害をよく耳にした。
実際、ウインドフック(ナミビア)で首絞め強盗未遂に遭ったし、タリンの宿でパソコンを盗まれたし、メキシコでスキミングの被害に遭った。

万一、金もカードも持ち物も盗まれたら、旅行者に援助を求めつつ警察に行って被害届を出してもらい、日本大使館に助けを求め、日本からの送金を待つしかない。

特に、プノンペン(カンボジア)、ナイロビ(ケニア)、ダルエスサラーム(タンザニア)、ルサカ(ザンビア)、カラカス(ベネズエラ)、マナグア(ニカラグア)、グアテマラ・シティ(グアテマラ)、ポートモレスビー(パプアニューギニア)は危険な香りがしていたし、被害を受けたという情報を聞いた。
概して、中東などのイスラム国家は後発国であっても親切な人が多いと思った。
また、旅行者が少ない国・街は旅行者ズレしていないので、思わぬ親切を受けることもあるし、逆にアジア人(主に中国人)を蔑視していることもある。

万全ではないが、なんとく気を付けていたことを述べる。

・のんびり歩かない
のんびり歩いていると呼び止めやすいし、暇なのかと思われる。

・複数で行動する
アフリカは複数で行動していた。

・向こうから話しかけて来る奴は話半分に聞く
妙に親切な奴とか雄弁な奴、しつこく着いて来る奴はほぼクロ。
逆にこちらから話しかけて、普通の反応の人はOKだろう。

・夜は出歩かない
後発国は電灯が少なく薄暗い。
地元民が歩いていなければ、控えろという意味だ。

強盗が命まで取ることは稀だと思うが、テロ、デモ、拉致だけはその保障はない。
そんなわけで、アフガニスタン、イラクなどは訪れなかった。(もっとも、ビザを取得するのが困難)
パキスタン(テロ組織の潜伏)、スーダン(南部の分離独立)は政情不安定だが、最近訪れた旅行者がいた、という実績があり、旅行に必要な情報を手に入れていたので訪れることにした。

隣国同士が仲が悪い場合や国境が都市部から離れすぎている場合は、国境の治安が悪い場合がある。
最悪、国境が閉鎖される場合もある。
スノウリ(インド-ネパール間)、ワガ(インド-パキスタン間)、モヤレ(エチオピア-ケニア間)、マイカオ(コロンビア-ベネズエラ間)は強盗多発地帯らしいが、幸い被害はなかった。



・旅の終わり


日本に帰ったら住民票を入れたり、写真を現像したり、飲み会に行ったりして英気を養い、社会復帰する準備をしましょう。


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